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きっかけは1998年にアメリカのワシントンで開催された日本酒造組合中央会主催の利き酒会に参加したことです。既にこのころ、日本国内における日本酒の消費量は減少傾向でした。しかし利き酒会に来場した日本酒になじみのない地元の有力者たちは、「おいしい」と言って飲んでくださいました。それを見て市場として有望だと感じました。
それを機にアメリカへの輸出を始め、現在はアメリカのほか、カナダ、中国、フランス、ドイツなど10カ国に日本酒を輸出しています。
国によって酒の輸出入についての制度が違うため、現地の制度に合わせた対応が求められます。例えばカナダでは、州の政府機関が酒の輸入販売を一括で管理しています。このため、酒造メーカーが現地の販売代理店などに直接輸出することはできません。州ごとに税金や規則も違うため、事務処理も煩雑だと感じます。
文化や価値観が違う現地の販売代理店の人たちと信頼関係を築くことが最も重要で、とても難しいことだと感じました。アメリカに日本酒の輸出を始めたころは、アメリカ国内の景気も良く、競争相手も少なかったことから、販売しようと思えばいくらでも販売できる環境でした。しかしここ10年ほどは日本酒ファンも増え、さまざまな銘柄を飲みたいという消費者が増えてきました。それに伴いアメリカ国内の販売代理店も増えていきました。現地の販売代理店はさまざまな銘柄を扱うことから、酒造メーカー同士の競争も激しくなり、近年アメリカでの販売量は落ち込んでしまいました。
停滞していたアメリカ市場を再度掘り起こしていくために、今年は思い切って、現地の販売代理店をこれまでとは違う会社に変更しました。アメリカで小玉醸造の日本酒を売ってもらうために、販売代理店のほか、酒販店、飲食店も含めて信頼できる関係を再構築しようと取り組みを進めているところです。
現在は小玉醸造全体の日本酒のうち、1割弱を海外に輸出しています。国内で日本酒を飲む人が減ってきている中、海外市場はまだ開拓の余地があると思っています。今後は、アメリカでの信頼関係を再構築しながら、アジアの中でまだ進出していないベトナムなどにも輸出していきたいと考えています。秋田の日本酒の素晴らしさを世界中の人たちに感じてもらえるようこれからも取り組んでいきます。